2月22日より新宿K’s cinemaにて「ブリティッシュ・ノワール映画祭」が開催。日本未公開作品も含む充実のラインナップ

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 2025年2月22日(土)より新宿K’s cinemaにて「ブリティッシュ・ノワール映画祭」が開催される。これまで日本でほぼ紹介されてこなかったといっていいノワールにスポットをあてて、全13作品を上映。その中には日本未公開の5作品、キャロル・リードのノワール作品、ドン・シーゲル『ビッグ・ボウの殺人』も加わる。
 ブリティッシュ・ノワールの発祥の地となったのは、マイケル・バルコン率いるイーリング・スタジオ。イーリングを拠点とした3人の監督たち、アルベルト・カヴァルカンティ、ロバート・ヘイマー、ベイジル・ディアデンなしにブリティッシュ・ノワールは存在しなかった。彼らがオムニバスで参加した作品が『夢の中の恐怖』である。田舎の館の修理に招かれた建築家が、建物、そこに集ったゲストに既視感を覚えるという出来事を導きの糸に、ゲスト一人ひとりの語る怪奇な話が綴られる異色のノワール映画だ。
 日本未公開の作品で上映されるのは、ジョン・ボールティング『ブライトン・ロック』、ロバート・ヘイマー『日曜日はいつも雨』、アルベルト・カヴァルカンティ『私は逃亡者』、マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー『その信管を抜け』、そして、『第三の男』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞し一躍世界に知られるようになったキャロル・リード『ミュンヘンへの夜行列車』の全5本となる。
他には、同じくキャロル・リードの『二つの世界の男』、ベイジル・ディアデン『兇弾』、ジュールス・ダッシン『街の野獣』、レスリー・アーリス『妖婦』、シドニー・ギリアット『青の恐怖』、コンプトン・ベネット『第七のヴェール』を上映。
 またクリント・イーストウッドとのコンビでもおなじみドン・シーゲルの『ビッグ・ボウの殺人』も今回特別上映される。イギリスで育ち、大学に通ったシーゲルが、十九世紀ロンドンを舞台にして撮った初長編作品。ロンドンが舞台だが、すべてアメリカのワーナー・スタジオでの撮影となり、他作品とは系統が異なる。今回、ブリティッシュ・ノワールにも精通しており「映画監督 ドン・シーゲル ノワールを遠く離れて」(作品社)を刊行した吉田広明氏からコメントが到着したこともあり、特別に上映となった。

 『ブライトン・ロック』のエキセントリックでかつ純真という捻じれた少年を演じるリチャード・アッテンボロー、『兇弾』で同じく未成年の犯罪者として異彩を放つダーク・ボガート、『街の野獣』(赤狩りでアメリカを亡命する直前に、ジュールス・ダッシンがイギリスで撮影)で強欲な夫から逃れようとあがくバーのマダムや、『日曜日はいつも雨』でも凡庸な生活にあえぐ主婦を演じたグーギー・ウィザースなど、魅力的な俳優にも事欠かない。そしてイギリスを代表する映画作家、パウエル=プレスバーガー、キャロル・リードのノワール。ブリティッシュ・ノワールの多彩な魅力を今こそ発見していただきたい。
―吉田広明(映画評論家)

◆「ブリティッシュ・ノワール映画祭」開催概要◆
場所:新宿K’s cinema 東京都新宿区新宿3丁目35−13, Showakan-Bld, 3F
日程:2025年2月22日(土)~3月14日(金)
※プログラム詳細は後日発表。トークイベントも予定
https://www.ks-cinema.com/movie/britishnoir/

■上映作品
『ブライトン・ロック』Brighton Rock(1948)★
『日曜日はいつも雨』It Always Rains on Sunday(1947)★
『私は逃亡者』They Made Me A Fugitive(1947)
『兇弾』The Blue Lamp(1950)
『夢の中の恐怖』Dead of Night(1945)
『その信管を抜け』The Small Back Room(1949)★
『街の野獣』Night and the City(1950)
『ミュンヘンへの夜行列車』Night Train to Munich(1940)★
『二つの世界の男』The Man Between(1953)
『妖婦』The Wicked Lady(1945)
『青の恐怖』Green for Danger(1946)
『第七のヴェール』The Seventh Veil(1945)
『ビッグ・ボウの殺人』The Verdict(1946)★ [特別上映]
★…日本未公開

配給:アダンソニア 宣伝・配給協力:ブライトホース・フィルム 
協力:ブロードウェイ 作品解説:吉田広明 
協力:仙元浩平 デザイン:千葉健太郎 
字幕:林かんな(ブライトン・ロック)

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Posted by editor