ラヴクラフトの描く“宇宙的恐怖”。いまだからこそ見たい、人間による自然破壊を示唆する一作『宇宙の彼方より』が公開劇場を拡大

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 フィンランド・ナイトビジョン映画祭、スウェーデン・ルンドファンタスティック映画祭ほかに輝く2010年のドイツ映画『宇宙の彼方より』。H・P・ラヴクラフトの原作小説発表から95周年となる今年、“日本のクトゥルー神話研究の第一人者”の声が高い作家の森瀬繚による字幕監修を得て、この作品が公開される意義は大きい。すでに下北沢トリウッドほかで上映されてきたが、9月4日からMorc阿佐ヶ谷、9月9日から名古屋シネマスコーレでの上映が決定した。原作はクトゥルー神話の生みの親として知られる H・P・ラヴクラフトが、1927年に雑誌「AmazingStories」にて発表した小説『宇宙の彼方の色』。異常現象が起こる原因が、人間による自然破壊にあることを示唆する一作だが、ベトナム系ドイツ人のフアン・ヴ監督は“原典”を崇拝しつつも、ラヴクラフトが唱えた“宇宙的恐怖”をより拡大。両親が移民を決意したベトナム戦争下の1975年を舞台に、独自の解釈を盛り込んだ。
 製作から10年経った今なお、ヨーロッパの数多くの映画祭に入選し続け、2022年11月に開催されたフランスの映画祭「レトランジュ・フェスティバル・パリ」でも上映されるなど、今も世界各地を魅了し続けている本作が、ついに辿り着いた日本公開を見逃すわけにはいかない。史上最も“野心的な”ラヴクラフトの実写化作品と呼ばれる『宇宙の彼方より』、その深淵に劇場で触れたい。

(C)SPÄRENTOR, Studio / Produzent / Cinemago

出演:マルコ・ライプニッツ、ミヒャエル・コルシュ、エリック・ラスタッター、インゴ・ハイセ、ラルフ・リヒテンベルク
​原作: H・P・ラヴクラフト
製作総指揮:ペーター・ティリッシュ
製作:ヤン・ロス
脚本・監督・製作:フアン・ヴ
撮影監督:マルティン・コルベルト
音楽:ティルマン・シージ

編集:ヤン・ロス、フアン・ヴ 
美術監督:ペーター・ティリッシュ 
衣装:フリーデリケ・ベア、ラベア・シェーファース
​特殊効果:マーカス・ベッツ、セバスチャン・エルスナー、マクシミリアン・フェドロフ、マルティン・グレジンガー、ステファン・ハーンライン、ティモ・ロイヒト、オリバー・マツケ、ベンク・オルパック、オジオロ、トビアス・ラソカト、ヤン・ロス、ソレン・ヴォルツ、フアン・ヴ、キャロライン・ワイデンヒラー
​録音:クリスチャン・スペート
メイク:フランツィスカ・ブルンナー
​日本語タイトル・字幕監修:森瀬繚
日本語字幕:川野耕一
​タイトル協力:グループSNE
​宣伝プロデューサー:滝澤令央
​宣伝デザイン:デザイン原
宣伝グッズ(Tシャツ):脇原由利香
配給協力:モクカ
発売元:アシスト、オデッサ・エンタテインメント
​配給:Cinemago
作品データ:2010年/ドイツ/ドイツ語・英語/セレクトカラー/シネスコ/DCP/89分/G/原題Die Farbe
​(C)SPÄRENTOR, Studio / Produzent / Cinemago

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