島田歌穂  「ミュージカルがもっと好きになる!」をテーマにした人気コンサート・シリーズ、その第3弾が東京で開幕!

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■取材・文 / 原田和典 

ミュージカル映画100年の流れをつめこんだ、無類に楽しいプログラム

 『レ・ミゼラブル』の世界ベストキャストに選ばれ、エリザベス女王の前でも歌唱。ミュージカルの尽きない魅力を幅広い層に伝える島田歌穂が7月8日、東京・Bunkamura オーチャードホールにて「島田歌穂 Musical,Musical,Musical!! Vol.3」の東京公演を開催した。
「Musical,Musical,Musical!!」シリーズは、「今までにない新しい形で、沢山の方にもっとミュージカルを好きになってほしい」という島田の思いを反映して、2019年夏にスタート。コロナ禍による延期を経て昨年6月にVol.2が行なわれ、今回、満を持してVol.3の実現となった。“参加型コンサート”であるのも大きな特徴の一つで、観客は、Vol.1では大合唱、Vol.2ではストンプ(足踏み)、そしてこのVol.3ではハンドクラップ(手拍子)でパフォーマンスに参加した。
 Vol.3のテーマは、「ミュージカル映画」。「オーヴァーチュア(序曲)」を受けて登場した島田は、『オズの魔法使』から「オーヴァー・ザ・レインボウ」を歌い、続いて『ウィズ』からの「イーズ・オン・ダウン・ザ・ロード」に続ける。これだけで筆者はもう、嬉しさがこみあげた。片や流れるように美しい旋律のバラード、片やビートの利いたファンキーなナンバーと、聴いた限りでは対照的だが、『ウィズ』は『オズ』から約40年を経て、アフリカ系アメリカ人が中心となって作られた、いうなれば『オズ』のリメイク版なのだ。
 その後、「ブルー・スカイズ」を生んだ古典中の古典『ジャズ・シンガー』(1927年作品)が先駆となったミュージカル映画の歴史を語り、エポック・メイキングな楽曲を次々と披露。演奏を務めたのは、夫君のピアニスト、島健が音楽監督を務める“Shimaken & The Brilliant Notes”だ。サックスや弦楽四重奏も含む9人編成で、ジャジーなものからクラシック調、ロック調までを鮮やかにこなす。曲によっては、大阪芸術大学で島田に師事した森内翔大、永田千聖、寺町有美子、仲西陸がスペシャル・サポートメンバーとして参加。タップダンスを始め、華のあるパフォーマンスで耳目をひきつけた。また、第2部の冒頭「アイ・ガット・リズム」(『ガール・クレイジー』より)では、先に触れたように、オーディエンスがハンドクラップで参加。3つに分かれた客席が、それぞれ別の手拍子を打ち、そのクラッピングに合わせて島田が歌い、演奏に変わっていくという粋なアレンジが施された。

朝夏まなとを迎え、愛知公演と大阪公演も開催

 現代ミュージカル音楽界を代表するマエストロであろうアラン・メンケンの楽曲を集めたコーナーをもうけ(『リトル・マーメイド』からの「アンダー・ザ・シー」、『アラジン』からの「ホール・ニュー・ワールド」等が登場)、さらに『ラ・ラ・ランド』からの「ア・ラヴリー・ナイト」、『ザ・ラスト・ファイヴ・イヤーズ』からの「ムーヴィング・トゥー・ファスト」などにもスポットを当てながらの、約100年にわたるミュージック映画の歴史に表敬したひととき。“往年のミュージカルは良かったね”という視点ではなく、“ミュージカルは常に素晴らしく、今も傑作が次々と出ている。ミュージカルを丸ごと愛してしまおう”という言葉が聞こえてきそうな、ポジティブなパワーに溢れたステージだった。スペシャルゲストの海宝直人もつややかな歌声、颯爽とした立ち振る舞い、島田との息の合ったトークで楽しませてくれた。
 今後の「島田歌穂 Musical,Musical,Musical!! Vol.3」は、スペシャルゲストに朝夏まなとを迎え、7月16日に愛知・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール、31日に大阪・NHK大阪ホールで開催される。

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