未来の音楽が聞こえてきた! 写真展 「RAISE THE MOMENT」の関連ライヴに、the hatchとRIKI HIDAKAが登場

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■取材・文 / 原田和典

RIKI HIDAKA

 これまでオンラインでしか見ることのできなかった作品に加え、新作も披露された写真展「RAISE THE MOMENT」(9月28日~10月6日。原宿「Art In Gallery」にて開催)。その関連ライヴ「MOMENT GIG」が9月30日、渋谷「Circus Tokyo」にて開催され、4人組ユニットのthe hatchと、RIKI HIDAKAが登場した。
 RIKI HIDAKAはロサンゼルス出身のギタリスト。2010年代から活動を始め、ヤナセジロウ率いるbetcover!!への参加、佐藤奈々子(nanaco)との『Golden Remedy』、ジム・オルーク、石橋英子とのトリオによる『置大石』、松丸契との共演などでも話題を集めている。この日はソロで「からす」「狼(仮)」「庭(仮)」を聴かせた。できるだけギターに触れずにいかに長くギターの音を持続させて漂わせていくか的な音世界にいきなり引き込まれる。霧の向こうから聴こえてくるような弓弾きの感触、どこかざらざらした歌声(しかも歌詞は童話のようだ)、シンプルなコード・ワークの中にギラリと挟まる尖った音使いの気持ちよさ。この、至近距離の規模の会場でRIKI HIDAKAのつまびくドローンを目撃できたのは幸せだった。

the hatch

 続いてはthe hatchのステージだ。メンバーはトロンボーン&ボーカル&キーボードの山田碧、ギターのりょうけん、ベースのザキヤマ、ドラムの岩崎隆太郎。最近異様なほど数々のすさまじいミュージシャンを生み出している音楽都市・札幌で結成された。現代ジャズのイディオムを身体にしっかり馴染ませたうえで目いっぱいミクスチャーの限りを尽くす、といった感じの音作りが爽快だ。トロンボーンをブロウしつつ豪快に歌いまくるという点で筆者が連想したのはジョセフ・ボウイが1980~90年代に率いていた“ディーファンクト”だが、いまは当然2022年であり、進行形のジャズリスナーならシャバカ・ハッチングスやシオン・クロス関連の横に置きたくなるのではないか。鬼のようなシンコペーションが轟き、山田のパフォーマンスは何かにとりつかれたようで一刻もじっとしていない。ニューアルバム『Shape of raw to come』からのタイトル曲、「ashuman」、「in September」、「VOLVO」などを含むステージは“一気呵成”と呼びのに、まさしくふさわしい。

「RAISE THE MOMENT」「MOMENT GIG」は、様々な写真家やアーティストが集まり、多様性に溢れる文化を発見、感じるためのイベントだと聞いた。刺激がなければアートも音楽も面白くない。その意味ではこの催しは自分の心を大いに熱くした。続編を心待ちにしたい。

■ライブイベント 『MOMENT GIG』
出演:the hatch / RIKI HIDAKA

■写真展 『RAISE THE MOMENT』
参加フォトグラファー:Eri Shibata / ICHIKAWA Yukio / Jim Saah/Kazumichi Kokei / KEIJU KAWASE / Masanori Naruse / Riei
Nakagawara / Takayuki Mishima / Teppei Kishida /Yuka Ochiai / 宇宙大使☆スター / 神鳥孝昭 / 中嶌英雄

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