「第十一回 品川蕪品評会 in 品川神社」が盛大に開催。「しながわカブが上がるエール」のお披露目式も!

Topicsevent,traditional culture

■文 / 原田和典  写真 / 瀬戸優

 「第十一回 品川蕪品評会 in 品川神社」(主催:東海道品川宿なすびの花)が、12月22日に開催された。金賞・銀賞・銅賞・特別奨励賞の発表、品川蕪(品川カブ)入りの「品川汁」の振る舞い、講談や太鼓演奏、さらにスペシャル・ゲストによる歌唱に加え、「しながわカブが上がるエール」のお披露目式も開催。これまでよりもさらにパワフルに、バラエティに富む約3時間となった。

大塚好雄さん
田辺一乃師匠

 品川蕪は、江戸時代に品川宿周辺で栽培されていた蕪の一種。1804年(文化元年)発行の博物誌『形成図説』にも登場しているという。長い葉が特徴で、主に漬物や汁物の具として食べられていたが、江戸が東京になった頃から生産が減り、“幻の野菜”になってしまった。そこで奮起したのが、「NPOなすびの花」の大塚好雄理事長。2006年から品川蕪の痕跡を探し始め、08年から栽培すると共に、学校、農園、愛好者などに種子を配り、品川蕪の普及に情熱を傾けている。品川蕪はひとつひとつが独自の形を持っていて、のびのびしているもの、丸っこいもの、まるで大根のように見えるものまで、さまざま。特徴のひとつである長く、緑の鮮やかな葉っぱも含めて、みな、個性的で、いまこのときこの姿を見る者に突き付けてくる。「なんだこれは!」と声をあげてしまいたくなるような挑みかかりがある。今年も品川蕪の数々は、猛暑やゲリラ豪雨をのりこえた、実に見事なものだった。 

 NPOなすびの花 柿沢美貴理事の総合司会で、会はスタート。大塚理事長の開会宣言に続き、田辺一乃師匠のオープニング講談(もちろんこの会のためのオリジナル)、来賓の挨拶などが続き、10時50分ごろになると、荏原流れ太鼓のパフォーマンスと、串カツ、「江戸を食する」品川汁がふるまわれる。巨大鍋に人参、茸、大根、あぶらげ、品川蕪などが大量に入れられ、江戸時代には擦った大豆が入れられていたとのことだが、現在は豆乳を投入。品の良い味噌味と、快いにがみのある蕪の葉(最後の最後に入れる)が実によく合うなあ、と、今年もうまみを体に染み渡らせた私である。そして会は、「しながわカブが上がるエール」のお披露目式へと移る。これは品川蕪を使ったクラフトビールで、品川区と城南信用金庫が、産業復興による経済の持続発展および品川区民サービスの向上、地域の活性化を図ることを目的に包括連携に対する協定書を締結したことを記念して醸造された。10月17日に羽田の「よい仕事おこしプラザ」で仕込み式が行われ、この12月22日にめでたくお披露目となった。

荏原流れ太鼓
田代美代子さん

 続いては、スペシャル・ゲストとして歌手の田代美代子が登場。“和田弘とマヒナスターズ”と共演した大ヒット曲「愛して愛して愛しちゃったのよ」で一世を風靡したが、ルーツのひとつにはシャンソン(石井好子に学んだ)がある。この日は「~愛しちゃったのよ」に加え、「歌おう愛の歓びを」、「おお、我が人生」、「愛の讃歌」などのシャンソンを披露、さらにシャンソンの大先輩である高英男の代表曲「雪の降る町を」を歌い上げた。
 エンディングを飾るのは、審査発表と表彰式だ。47件のエントリーから選ばれたのは、銅賞が品川学園(エントリーナンバー3)、銀賞は新間さんと菊菊池ん(エントリーナンバー22)、金賞は台場保育園(エントリーナンバー6)、特別奨励賞には旗台小学校が輝いた(エントリーナンバー2)。

大喜びの子供たち