竹内アンナ/デビュー5周年を迎えた人気シンガーソングライターが、恒例の弾き語りツアーの東京公演を開催 

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■文:原田和典 写真:Kazushi Hamano

シンガーソングライターの竹内アンナが12月9日、東京・自由学園明日館 講堂で「弾き語り TOUR 2023 atELIER -アトリエ-」の東京公演を開催した。同ツアーの開催は2021年、22年に続いて3度目。晩秋から冬にかけての風物詩になりつつある、といっていい。ここでは第2部(夜公演)をレポートしたい。
 自由学園明日館の講堂は1927年、伝説的建築家のフランク・ロイド・ライトに学んだ遠藤新によって設計された。ライトの名をきくと、私は反射的に、米国ニュージャージー州にあるルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオを思い出す。1959年、録音技師ヴァン・ゲルダーの要望を受けて、ライトの弟子が、一本の釘も使用しないという考えのもとに設計した。そこは抜群の響きを持つ名門スタジオだが、その点は明日館のアンビエンスも変わらないはずだ。音響の良さは確実に演者と聴衆双方の気持ちを高ぶらせる。実に気持ちよさそうに歌い、ギターを鳴らす竹内アンナと、そのサウンドにじっくり耳を傾けながら、ここぞというところで自然発生的に盛り上がるオーディエンスの呼応には、「これこそライブの醍醐味」といいたくなる生々しさがあった。

 アットホームな雰囲気のなか、アコースティック・ギターの弾き語りを満喫させてくれる「atELIER -アトリエ-」だが、今回、竹内アンナが奏でたギターは計4本。いずれもマーティン社のもので、ひとつはステージ初使用となる12弦ギター。もうひとつはレコーディングやライブなどで大活躍してきたジョン・メイヤー・シグネチャーモデル、さらにもうひとつは竹内とマーティン社が約2年間話し合って共同開発した自らのシグネチャーモデル、以上にナイロン弦を使用したガットギターが加わった。曲に応じての楽器の選択、トーンの違いを堪能できたのも、ギター好きにはたまらない嬉しさだ。
 とあるインタビューで“エレクトロとアコギの融合を目指して作られた”と語られていた初期のナンバー「Free! Free! Free!」は12弦のストロークを生かしたアレンジによって生まれ変わり、このツアーならではの趣向となった「atELIER MEDLEY」(「気づかない?気づきたくない?」「感情愛情CRAZY」等、他アーティストへの提供ナンバーを含む)では曲が変わるごとに観客から大きな拍手がわく。
 ナイロン弦の柔らかな音色が光るボサノヴァ調「泡沫SUMMER」の次、「アコギ弾き語りでは想像できないような曲を」という前置きの後、あえて曲紹介をせずに行われた、YOASOBIのカヴァー「アイドル」にかけての展開も見事だった。あの独特な転調を持つ変則的なナンバーを、流れるように、しかもガッツリ弾き語ってくれたのだ。

 さらにラストでは、23年発売発表の5th EP『at FIVE』に入っている「生活」を届けた。EPをお聴きになった方はお分かりのように、これはPAJAUMIこと“パジャマで海なんかいかない”と組んだ、非常に込み入った編集・構築がなされている、およそ弾き語りになりそうにない楽曲である。なのに、竹内アンナは、力強く、この曲をリアルタイムのギター弾き語りナンバーとしてリアレンジした。もちろん「atELIER -アトリエ-」ツアーの常として、ルーパーもサンプラーも不使用。デビュー5周年というアニバーサリーを迎えた竹内は、原点回帰ともいえるフォーマットに立ち返ると同時に、表現者としてのさらなる進化、弾き語りの尽きない可能性をもみせつけた。
 来る24年3月には、PAJAUMIをバックバンドに「Billboard Live Tour 2024」を敢行することも決定。竹内アンナの今後が、さらに楽しみになるライブだった。

「竹内アンナ 弾き語り TOUR 2023 atELIER ‐アトリエ-」 
夜公演 セットリスト

01  Free! Free! Free!
02  RIDE ON WEEKEND
03  サヨナラ
04  I My Me Myself
05  ICE CREAM.
06  泡沫SUMMER
07  アイドル
08  atELIER MEDLEY
09  たぶん、きっと、ぜったい
10  Love Your Love
11  If you and I were
12  YOU+ME=
13  WILD&FREE
14  ALRIGHT
15  あいたいわ
ーENCOREー
16  TOKYO NITE
17  生活

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