大空の下でロカビリーのライヴを満喫する気持ち良さ! 「三浦ロカビリー祭り2025」開催

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■文・写真 / 原田和典

11月3日の午前11時から、神奈川県三浦市三崎の「うらりマルシェ」2階の展望デッキでライブイベント「三浦ロカビリーまつり 2025」が開催された。

ロカビリーは、ロックの原点に位置する音楽といっていいだろう。1950年代のアメリカで、白人のカントリー&ウェスタンに黒人のリズム&ブルースが融合し、それは瞬く間にヨーロッパやアジアにも広まった。しかも今年は“キング・オブ・ロックンロール”ことエルヴィス・プレスリーの生誕90年にもあたる。
私は昨年11月17日に行われた「三浦ロカビリーまつり 2024」に足を運ぶことができなかったので、ちょうど2年ぶりの参加である。特に「これは嬉しいな」と思ったのは飲食コーナーの充実(ビールは10リットル入りの樽が8つ)、いっそうスピーディーになったセッティング(転換)、メリハリの利いたPA。肉厚なギターの響きが飛び出してくるとともに、何よりも歌がしっかり聴こえてくるのがいい。展望デッキで、こんなに太い音を堪能できるとは! 毎年トリをとっていたビリー諸川がアメリカ公演のため不参加だったとはいえ、出演ラインナップも充実そのものだ。

オープニングを飾ったのは「ガレージバンド」のパフォーマンス。2013年結成、三浦と横須賀を拠点に活動を続ける、同エリアのNo.1/唯一のロカビリーバンドである。勢いよく「ブルー・スエード・シューズ」を炸裂させ、そこからリッチー・ヴァレンスの「カモン・レッツ・ゴー」へ。“地域密着”という歌詞も登場するオリジナル曲「ガレージパラダイス」をはさみ、世界平和への願いを込めた「この素晴らしき世界」で締めくくるという盛りだくさんのステージで、しょっぱなから「三浦ロカビリーまつり」を盛り上げに盛り上げた。

ガレージバンド

続いては「三浦ロカビリーまつり」史上、初の試みとなる「ダンス・レッスン」のコーナー。ダンサーたちのよき指導を得て、ボックスステップ、ニークラップ等を覚えながら、ロカビリーで踊ってしまおうという企画だ。参加者は子どもから人生のベテランまで、本当にさまざま。「サマータイム・ブルース」、「レッツ・ツイスト・アゲイン」などで踊るのは本当に楽しいものだ。

この後、すぐさま登場したのは「山口憲一&ロカビリー・スペシャルズ」。ダンス・レッスンの余韻が残る中、さっそく生バンドで踊ってもらおうということなのだろう。「三浦ロカビリーまつり」の中心人物である山口は三浦在住のギタリストで、1990年にロカビリーバンド「MAGIC」でメジャーデビュー、ほかGRETSCH BROTHERS、B・A・T等、さまざまなユニットで活動している。最初にゲストとして登場した乾和代は、“童謡からロックンロールまで歌うツイスト・クイーン”。「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン」を力強く歌い、続いて登場した日野勝雄(サンドラディー、グレッチ・ブラザーズ)は「サマータイム・ブルース」を快唱、MAGIC時代のナンバー「天使のジェラシー」をはさんで、山口いわく“永遠の上司”である(かつて同じ所属事務所だった)BLUE ANGELの浦江アキコが登場。「君にTRY AGAIN」、11月生まれのオーディエンスに向けて「HAPPY BIRTHDAY」を届けた。

山口憲一&ロカビリー・スペシャルズ
山口憲一と乾和代
日野勝雄と山口憲一
浦江アキコと山口憲一

続いては歌謡曲のロカビリー化で観客を楽しませる「シツレイ・キャッツ」の登場が予定されていたが、急遽、山口憲一を中心とする面々によるセッションが催された。1曲目の「スロー・ダウン」こそ事前に決めていたものの、ほかは日野勝雄の裁量に任せるというスポンテイニアスな展開。「エブリデイズ」「かたなしPLAY BOY」などB・A・Tのナンバーや、「ヒッピー・ヒッピー・シェイク」、浦江アキコがリードヴォーカルをとる「リップ・イット・アップ」等で会場を白熱させた。

「キャメル・クラッチ」は1987年結成、メンバー全員が横須賀出身だ。「「炭火焼鳥ろっか!」のテーマ」、「V•A•C•A•T•I•ON」等のオリジナル曲に、チャビー・チェッカーのカヴァー「レッツ・ツイスト・アゲイン」を交えた明るく楽しくノリノリのステージ。朝本千可の教えを受けたサックス奏者Candy Nonのゲスト参加も、「三浦ロカビリーまつり」でおなじみといっていいだろう。ヴォーカルの佐藤祐治が「もうメンバーのひとり」と語るのも納得の、とけこみぶりであった。

キャメル・クラッチ

ほんのちょっと降った雨も、「ホットドッグバディバディ」の登場の頃には止んでいた。2002年に結成され、これまで8枚のアルバムを発表。アコースティック・ギターとエレクトリック・ギターのソリッドなアンサンブル、天谷カズオのダークでハスキーな歌声が印象的だ。「GO!GO!ロカビリーWORLD」、「ロカビリー色で塗りつぶせ」、「ダンス・ダンス・ダンス」等、日本語のオリジナル曲をじっくりと届けた。

ホットドッグバディバディ

気が付くと、もう15時半だ。ビリー祝田ひきいるビリー&ザ・ムーンライツの登場である。セットリストは、「ザッツ・オール・ライト」、「ブルー・ムーン・オブ・ケンタッキー」、「グッド・ロッキン・トゥナイト」などサン・レコード時代のエルヴィス・プレスリーへの敬愛をにじませるものだった。全8曲のパフォーマンスの後、なだれ込むようにジャム・セッションが始まる。メンバーの中にはシツレイ・キャッツのヴォーカリストであるNAGOの顔も見える。演目は「ブルー・スエード・シューズ」、「ジョニー・B・グッド」。トリプル・ウッド・ベースのスラップ大会もはさみながら、“このまま果てしなくゴージョニゴーゴーというシャウトが続くのではないか”と思わせるほどの、熱狂がやまない歌と演奏、そして観客の反応だ。

ビリー&ザ・ムーンライツ
ジャム・セッション
ジャム・セッション

SHIN-G、SHINZ!のDJ2名、司会進行のナホコロール、JUNも大活躍。リーゼントやポニーテールが作れるヘアアレンジコーナー(無料)が設置されていたのも良いし、売店にはCDもあって私も『Bayou Rockabilly Cats』などいくつか買った。ロカビリーの魅力に多角的に迫る「三浦ロカビリーまつり」、来年の開催が早くも楽しみになってくる。

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