きゃりーぱみゅぱみゅが6年ぶりの日本武道館ワンマンライブを開催 過去・現在・未来に思いを馳せて全62曲をパフォーマンス

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■取材・文 / 原田和典  写真 / AKI ISHII

2時間半以上にわたるステージで見せた「エンターテイナーとしての華と底力」

 きゃりーぱみゅぱみゅが10月19日、東京・日本武道館で「10th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2022 -TOUR FINAL- UMA 105」を開催した。これは今年1月に神奈川県厚木市を皮切りにスタートしたデビュー10周年記念にして自身最大規模(全国30公演)となったツアー「10th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2022 CANDY WAVE」の集大成。6年ぶりとなる武道館ライヴに、約6000人のファンが熱狂した。
 ところで、タイトルの「UMA 105」とは何だろう? そう思って会場に足を運んだのは自分だけではないはずだ。UMAとはずばり、未確認生物のこと。きゃりーは4月にアメリカ最大の音楽フェスのひとつ「コーチェラ」(カリフォルニア州で開催)に出演したが、その2週目に、ダンサーが体調を崩し、たったひとりでステージをこなすことを余儀なくされた。これまでダンサーと共にパフォーマンスを繰り広げてきたきゃりーにとって、ひとりで、しかも外国の舞台に立つことは青ざめるような体験だったはずだが、結果的には大成功となり、いままで気づいていなかった自分自身の能力も発見。「未確認生物=自分自身」であると知り、そこから、今回の公演は「それぞれがまだ出会っていない本当の自分自身に会いに行こう」というオーディエンスへのメッセージを含むものとなった。いっぽう、「105」は、楽曲の数。武道館公演の本編では、その中から計62曲が披露された。数小節で終わってしまうものもあれば、フルコーラス演じられた曲もあり、さらにチュパカブラ、イエティ、フラットウッズモンスターなどUMAとの息のあったダンスもあり、と、2時間半以上の長時間をたっぷり楽しませた。

 オープニング・ナンバーは「インベーダーインベーダー」。きゃりー楽曲の特徴のひとつである、歌詞の素晴らしさが最大限に心を打つ。“目からビーム 耳からミサイル”という描写に、自分はひたすら憧れる。しかもいきなり撮影OK、この気前の良さもうれしい。
 本編で、フルコーラスで披露されたのは、ほかに「PONPONPON」、「パーフェクトおねいさん」、「つけまつける」、「キャンディレーサー」、「どどんぱ」、「ファッションモンスター」、「ふりそでーしょん」、「にんじゃりばんばん」など新旧のきゃりークラシックスたち。カラフルなステージ上と、オーディエンスの“球体ペンライト”が光の海を描く。やはり歌詞がとんでもなく感動的な「どどんぱ」は、きゃりーの打楽器的スキャット(シカゴのR&Bシンガー、ビリー・スチュワートの唱法を少々思わせる)から始まる、とびきり刺激的でもあるナンバー。この曲はAdobeのダンスビデオ投稿キャンペーン「Adobe DANCE VIDEO FES」の課題曲のひとつであったが、そこで最優秀グループに選ばれたGASH crewも登場し、鮮やかなダンスを披露した。アンコールでは10月5日から配信が始まった新曲「一心同体」(MVにはこの夏、海でケガして8針縫った時の脚の傷も登場)を初披露、続いて初期の楽曲「ちゃんちゃかちゃんちゃん」を共にフルコーラスで届けた。

 ファンやスタッフへの感謝を述べ、「世の中の“なし”を“あり”に変えられる存在になれるように」と力強く語ったきゃりー。「限界を超えること」をテーマに活動を続けてきた彼女の今後に、さらなる期待が高まる。11月19日、20日には東京ガーデンシアターで開催のイベント「True Colors Festival THE CONCERT 2022」でケイティ・ペリーと共演。ワンマンライブとしては、12月20日に大阪・なんばHatch、21日と22日に東京・EX THEATER ROPPONGIで「きゃりーぱみゅぱみゅ Special Live 2022 ~Back To Coachella~」が行なわれる。22日はきゃりーひとりでステージに立ち、コーチェラ2週目のセットリストそのままの構成で展開されるという。

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