スターダスト☆レビュー ロングラン・ツアーの野外編最終公演を、築100年の日比谷野音で開催!
■文:原田和典
秋晴れというのは、こんなに気持ちよいものなのか。日が沈んで暗くなっていく過程は、こんなに美しいものなのか。最高峰のライヴに接していると、3時間がこんなに早く過ぎるものなのか。スターダスト☆レビューが、またしても猛烈に楽しいひと時を運んでくれた。9月24日、日比谷野外大音楽堂で一大公演 “祝・日比谷野音 100 周年 スターダスト☆レビュー ツアー 2022~24「ブギウギワンダー☆レビュー」 野外編with んなアホなホーンズ” が行われたのだ。「ブギウギ ワンダー☆レビュー」は、昨年10月にスタートした全国ツアー。計103公演が予定されており、その59公演目となるこの野音ライヴは、野外編の最終公演でもあった。
抜群の歌唱力・演奏力の持ち主であると同時に、大変なエンタテインメント集団でもあるスタ☆レビ。野外編の共通テーマは、ずばり「祭り」だ。昨年10月リリースのアルバム『ブギウギ ワンダー☆レビュー』ではホーン・セクションを加えて初期のナンバーを鮮やかに再演していたが、この日も寺内茂(トランペット)、岡嶋直樹(サックス)、前田大輔(トロンボーン)からなる“んなアホなホーンズ”が大活躍。しかもこのライヴでは、前述アルバムに入っていない曲ばかりを、鮮やかに吹奏した。根本要を中心とするスタ☆レビの厚みのある歌声に、管楽器が絡んだり、合いの手を入れると、サウンドがいっそうゴージャスになる。
祭り感たっぷり、色違いのハッピを着たメンバーたちは、いきなり「東京ブギウギ」、「銀座カンカン娘」を軽快にカヴァー。第二次大戦後まもなく作られた服部良一メロディが、2023年の東京に響く。ここで観客をすっかり乗せ、笑顔にさせ、心をつかみきった感じだ。“最近のお金持ちは、少し離れた場所で座って祭りを楽しむらしい”ということで作られた着席の“金持ちコーナー”では、「屋根にノボって」や大定番の「木蘭の涙」を歌唱。続いてはホーン陣を除くメンバーが、楽器のある場所を離れて前方で横並びになり、“SDGs”をテーマにした大喜利的なMCを披露。色違いのハッピが、こうしたシチュエーションにぴったりだ。
アコースティック・コーナーでは、スタ☆レビの音楽に影響を与えた巨匠ミュージシャンへの思いを込めて、学生時代の根本がポール・マッカートニーの作風を意識して書いたという「気がつけば君のこと」、故バート・バカラック作「雨にぬれても」などを聴かせた。療養中のパーカッション奏者、林VOH紀勝はメール・メッセージを寄せ、その命令(?)に従って彼の持ち歌「星になるまで」を、サポート・メンバーのふたり、キーボードの添田啓二とギターの岡崎昌幸が歌唱。ほか、ベースの柿沼清史も「Moonlight Party」、ドラムの寺田正美も「Cassiopeia」と、それぞれメインボーカル曲を届けた。「Cassiopeia」はまた、スタ☆レビが、キメだらけのテクニカル・フュージョン・サウンドに取り組んでも絶品であることを示した。
後半では「今夜だけきっと」(観客との合唱)や「夢伝説」など80年代からのスタ☆レビ・クラシックスも登場、ダブル・アンコールではFUJI ROCK FESTIVAL ’23(初登場)でも大好評だったという「オラが鎮守の村祭り」が高らかに奏でられた。100周年の野音で聴く、レコード・デビュー43年のバンド・サウンドの尊さ。超満員の観客は、それぞれの胸に感慨を抱いて、いまも余韻をかみしめているに違いない。
『祝・日比谷野音 100 周年 スターダスト☆レビュー ツアー 2022~24「ブギウギ ワンダー☆レビュー」 野外編with んなアホなホーンズ』
@日比谷野外音楽堂 セットリスト
- 東京ブギウギ
- 銀座カンカン娘
- 流星物語
- Get Up My Soul
- 屋根にノボって
- 素敵なWink Cat −dedicated to FLAPPERS−
- 木蘭の涙
- 気がつけば君のこと
- The Best Of My Life
- 雨にぬれても (RAINDROPS KEEP FALLIN’ ON MY HEAD)
- 星になるまで
- Moonlight Party
- Cassiopeia
- 今夜だけきっと
- Endless Dream
- GET CRAZY−PANIC IN THE ATTIC−
- HELP ME
- 月光列車
- 太陽の女神
- Simple Song
ーENCOREー - 夢伝説
- オルフェウスの愛
ーW ENCOREー - オラが鎮守の村祭り