夢と希望、歌と笑いと人情を詰め込んだ「2023 活弁と浅草オペラの浅草パラダイス」が盛大に開催 今年のテーマは「祭り」だ!

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■文:瀬戸優 

今年の浅草は「三社祭」も完全復活。たくましい浅草の”復活宣言”、ここにあり!

麻生子八咫

 盛夏の7月8日(土)、浅草公会堂で「2023 活弁と浅草オペラの浅草パラダイス」が盛大に開催された。これは、活弁と浅草オペラだけでなく、和太鼓、太神楽、獅子舞、民謡に盆踊りという、日本の夏とお正月が一気にやってくるという非常におめでたい「祭り」である。

左)麻生八咫、子八咫

 第一部は、活弁士の麻生八咫、麻生子八咫による活弁『子宝騒動』(1935年/34分/白黒/無声/松竹)。喜劇の神様、斎藤寅次郎監督のギャグ満載のナンセンス喜劇だ。
 麻生八咫の「エイシャ(映写)、ヨーイ、スタート」という一声で映画が始まる。子八咫は10歳の時、木馬亭で活弁士としてデビュー。親子による活弁は、彼らが日本唯一である。ドタバタ劇はテンポよく進み、最初はクスクスと笑っていた観客も、いつしか「あはは!」と大笑い。面白さと躍動感あふれる活弁に観客は拍手喝采。

 休憩の幕間では、オペラ歌手によるコマーシャルソングが披露された。例えば、”極上の天ぷらを食べたかったら大黒家へ行こう~。エビが自慢、キスが自慢~。なんといってもご飯が美味い~。あのタレが身にしみる~”と熱唱するテノール歌手。スクリーンには巨大な天丼。席から離れらない、いや離れたくない。休憩時間なのにお手洗いが後回しになると言うのもこの祭りの特徴だ。

大正時代に一世を風靡した大衆のための浅草オペラ。今年の浅草風『カルメン』では予想外な展開も

麻生八咫

 第二部は、浅草オペラ「カルメン2023バージョン」。麻生八咫の語りで始まり、和装、洋装、さまざまな衣装をまとった総勢11名のオペラ歌手が登場。田谷力三や“浅草”のカルメン独特な世界へと誘う。オペラが佳境に入ると、車寅次郎、通称寅さんに扮する麻生子八咫も登場。右手を差し出し、威勢の良い口上がはじまる。思わぬ展開に会場が沸く。

 グランドフィナーレでは、色とりどりの浴衣姿の女性たちが、舞台の下からどどーんと登場。盆踊りが始まると会場からは手拍子が起こり、祭りは最高潮。人々の目が輝いている。何が飛び出すかわからない、これぞ浅草の復活パラダイスだ!