未来のジャズ界のホープ誕生か! 第3回 品川区アマチュアジャズコンテストが盛大に開催
■文 / 原田和典 写真 / 瀬戸優
「第3回 品川区アマチュアジャズコンテスト」の本選が1月22日、品川区・荏原文化センター 大ホールで開催された。これは「しながわジャズフェスティバル」(3月19日に同所でメインコンサートが行なわれる)の一環として実施されたもので、コロナ禍でアマチュアミュージシャンの活動機会が極度に少なくなっている中、未来のジャズ界のホープ誕生へとつながる貴重なイベントだ。
第1部は、品川区のジャズスナック「まつ」の常連を中心に結成された社会人オーケストラ「まつビッグバンド」による「ドン・キホーテ」から始まった。ブラジルの巨星ミルトン・ナシメントが書いた雄大な楽曲を、ソプラノ・サックスがリードするサックス・セクションをフィーチャーしつつ、滑らかに届ける。
続いて登場したのは、「第2回 品川区アマチュアジャズコンテスト」のウィナーたち。市川秀男トリオ(市川、加藤真一、二本柳守)をバックに眞田桂子が歌い、Fly-Highの中林俊也(アルトサックス)、竹村紫乃(ドラム)は、加藤の助演を得て「エアジン」を演奏した。中林は小曽根真のプロジェクト“From OZONE till Dawn”にも参加している。
続いてベテランのプロ・ミュージシャンである中村誠一、鈴木良雄、本多俊之、小山太郎、キャロル山崎が審査員席に座り、第2部「ボーカル部門」に移る。日本全国から応募のあった四十数組からソロ歌手やコーラス・グループなど計7組が選ばれ、市川秀男トリオの伴奏を得て、個性を競った。第3部の「バンド部門」では7バンド(1つはビッグバンド)が登場。いわゆるモダンジャズ系はもちろん、フュージョン系、ラテン系も含むラインナップだ。ここからは審査委員長の市川秀男も審査に加わる。参加者と審査員とのユーモラスなやりとりも、観客を大いに楽しませた。
~ボーカル部門~
〈優勝〉
fun!(4人編成のグループ) 「アルフィー」
(作詞ハル・デビッド、作曲バート・バカラック)
〈準優勝〉
はいどらんじあyoco 「オン・ア・クリア・デイ」
(作詞アラン・ジェイ・ラーナー、作曲バートン・レイン)
~バンド部門~
〈優勝〉
BCP(18人編成のビッグバンド) 「カンタービレ サード・ムーブメント」
(作曲ケニー・ワーナー)
〈準優勝〉
P-丸(6人編成のグループ) 「シルバー・ライニング」
(作曲チャック・ローブ)
~ベストプレイヤー賞~
BCP 戸松研人(ピアノ)
50数年の歴史を持つ男性ボーカルグループ、タイムファイヴの吉村晴哉から指導を受けた女性4人組のfun!は、美しいメロディではあるが1コーラスがどこまでかつかみにくい「アルフィー」のくねくねしたメロディを見事なハモリと滑らかなリズム・フィールでじっくりと歌い上げ、BCPは鬼才ピアニストのケニー・ワーナーがブリュッセル・ジャズ・オーケストラに提供した意欲的なナンバーをメンバー一丸となって届けた。戸松研人のピアノはリズムが鋭く、ハーモニーに広がりがあって、ライブに足を運んでもっと彼の演奏するナンバーを聴きたいと心から思った。
ウィナーの面々は3月19日に同所でメインコンサートが行なわれる「しながわジャズフェスティバル」にも登場予定。あのハーモニー、あのアンサンブルがまた聴けると思うと、心がはずむ。