第十回記念 品川蕪品評会/品川蕪の収穫を祝う、年に一度の祭典。元気一杯の子供たちと品川蕪が寒さを吹っ飛ばす!

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■文:写真 瀬戸優

 12月24日(日)、東京・品川神社で「第十回記念 品川蕪品評会」が開催された。今年の4月から特定非営利活動法人となり、ますますパワーアップした「東海道品川宿なすびの花(NPOなすびの花)」が主催、早朝から30人ほどの有志が準備にとりかかり盛大な品評会となった。
 品川蕪は、江戸時代に品川宿周辺で栽培されていた蕪の一種。1804年(文化元年)発行の博物誌『形成図説』にも登場しており、主に漬物や汁物の具として食べられていた。江戸が東京になった頃から生産が減り、戦前には完全に消滅。理事長の大塚好雄さんは、2006年から品川蕪の痕跡を探し始め、08年から栽培しながら、学校、農園、愛好者などに種子を配り、品川蕪の普及に取り組んできた。“子供たちに野菜を育てる楽しさと食べ物を大事にする心を育んでもらいたい”というのが一番の願いだ。


 品評会のお祓いは、9時50分よりおこなわれた。昨年は、コロナ禍のため境内での参拝だったが、今年は関係者や一般の人達も拝殿でお参り。祭壇には品川蕪が供えられた。
10時からは、オープニングシャンソンとして品川区在住のシャンソン歌手、石川光子さんの歌唱、NPOなすびの花 理事長の大塚さんによる挨拶に続き、来賓の森澤恭子品川区長、新井康副区長、江戸東京伝統野菜研究会会長 大竹道茂さんらから激励の言葉が送られた。品評会の審査員として、急遽、森澤区長も参加することになり、会場はさらに盛り上がった。

石川光子さん
大塚好雄さん

 蕪の審査のあいだ、訪れた人々に品川汁が振舞われた。品川汁は、人参、茸、大根、あぶらげ、品川蕪などが入った味噌味の豆乳汁。江戸時代には擦った大豆が入れられていたという。最後に加えられる蕪の葉が彩を添え、更に食欲がそそられる。家では見ることのない巨大鍋に子供たちも大喜びだ。今年は串カツや葱焼きもあり長蛇の列ができた。

振舞われる品川汁
賑わう境内

 境内からドドンと図太い音が鳴り響き、東京都を拠点とするプロの組太集団・和太鼓大元(だいげん)組の今村敦輝さんと熊谷拓亜さんによる和太鼓の演奏が始まった。大迫力の太鼓に子供たちは品川汁を片手に釘付けになった。
 さらにスペシャル・ゲストとして歌手の田代美代子さんが登場。“和田弘とマヒナスターズ”との共演で一世を風靡した「愛して愛して愛しちゃったのよ」に加え、「歌おう愛の歓びを」、「サン・トワ・マミー」、「おお、我が人生」、「愛しかない時」などのシャンソンを披露、「イスラエルの子守唄」では平和を祈りながらアカペラで熱唱した。

今村敦輝さん(左)と熊谷拓亜さん
田代美代子さん

 その後、いよいよ審査発表と表彰式が始まる。銅賞は灰田さん、銀賞は大田区出雲小学校、金賞は品川区台場小学校、特別奨励賞は品川区立品川学園に贈られた。子供たちは、「苗を土に移すところが難しかった」、「葉っぱについている虫を捕るのが大変だった」、「早く大きくなあれと思いながら育てた」などの感想を述べた。蕪の形をした帽子をかぶっての出し物ものでは、ドラえもんに扮した子供が、「しながわかぶ~」といいながらお腹のポケットから蕪を取り出す一場面もあり、会場はおおいに沸いた。
 品評会に集まった品川蕪は、根っこが曲がりくねっていたり、まんまるとしていたりとさまざまな。葉っぱものびのびとして元気一杯だ。品川蕪のような子供たちがどんどん育って欲しいと願う人々の大らかな空気が境内を包み込んでいた。

大喜びの子供たち
金賞を受賞した品川蕪

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