ジャズファンの拡大、音楽文化の継承、地域文化の発展を願って。「第5回 品川区アマチュアジャズコンテスト」が盛大に開催
■文:原田和典 写真:瀬戸優
「第5回 品川区アマチュアジャズコンテスト〜音楽で広げる交流の輪〜」の本選が1月19日、品川区・荏原文化センター 大ホールにて開催された。これは「しながわジャズフェスティバル」(3月16日に同所でメインコンサートが行なわれる)の一環として実施されたもの。2020年のコロナ禍においてアマチュアバンドに新たな挑戦の場を提供することを目的にスタートし、今年からは新たに「オーディエンス投票」も導入された。観客に第2部、第3部のそれぞれから、最も良いと思った出場者(またはバンド)をひとつ選んで拍手をつのり(声援や鳴り物はNG)、その音量を2台のスマホで計測するというやり方だ。
品川音楽企画 なかのぶフェスティバル実行委員会代表の平野学さんのあいさつのあと、第1部の最初に登場したのは、「品川区立延山(のべやま)小学校 金管バンド」。管楽器は、11トランペット+8アルト・ホルン+9トロンボーン+7ユーフォニアム+4チューバで構成されている。演奏曲はMrs. GREEN APPLEの「青と夏」、そして吹奏楽の大定番、アニメ『響け!ユーフォニアム』の劇中でも演奏されていたT-SQUAREの「宝島」。サンバ調のアレンジで演奏された「宝島」ではカウベルなどの打楽器も活躍した。
第2部は「ボーカル部門」。女性ソロ6人、男性ソロ1人の計7組が、市川秀男スペシャルトリオ(ベース:加藤真一、ドラム:小松伸之)の伴奏で歌った。審査員の、鈴木良雄、本多俊之、市原ひかり、江藤良人といったプロ・ミュージシャンたちも親切かつ真摯にアドバイスをおこなった。
第3部の「バンド部門」では7バンド(2つはビッグバンド)が登場。自身のオリジナル曲を演奏したバンド、クラシック曲をアダプトしたバンドなど、実に多彩だったが、私の耳を特にひいたのは1912年生まれのスタンダード・ナンバー「マイ・メランコリー・ベイビー」を2部構成の、すこぶる新鮮なアレンジで届けた伏見カルテット。トランペット奏者の酒井晴の出音の美しさも特筆ものだった。
この第3部からは審査委員長の市川秀男も審査に加わり、計5人による審査が行われた。また、審査発表の前には市川秀男スペシャルトリオが「ストレート・アップ」を演奏。かつてクラーク・テリーとジョン・ファディスというふたりのトランぺッターが登場したTVコマーシャルで使われていたナンバーを、ピアノ・トリオ編成の解釈で聴けたのは嬉しい驚きだった。
~ボーカル部門~
優勝:麻美(マミ) 「ボディ・アンド・ソウル」
準優勝:Julie(ジュリ) 「チーク・トゥ・チーク」
オーディエンス特別賞:TAKA(タカ) 「これからの人生」
~バンド部門~
優勝:Sony Jazz Orchestra 「エクスプロージョン」
準優勝:佐々木彪トリオ 「ホワイ・ノット!」
審査員特別賞:Sasage Several Guys Orchestra 「ラ・フィエスタ」
オーディエンス特別賞:伏見カルテット 「マイ・メランコリー・ベイビー」
~ベストプレイヤー賞~
ベストプレイヤー賞:Sony Jazz Orchestra 奥田善則(アルト・サックス)
ボーカル部門、バンド部門の優勝者は3月16日に同所で行なわれる「第19回しながわジャズフェスティバル」への出場権を獲得した。未来のジャズ界のホープたちの活躍を、いっそう楽しみにしたい。