「第十二回 品川蕪品評会 in 品川区立聖蹟公園」が盛大に開催。金賞は2年連続で台場保育園
■文:原田和典 写真:瀬戸優

数日前の天気予報では「雨」だったが、早朝にはすっかりやんで、開始の頃になると晴れ間がのぞいた。
「第十二回 品川蕪品評会 in 品川区立聖蹟公園」(主催:東海道品川宿なすびの花)が、12月21日に開催された。これまで品川神社で行われていたが、今年は明治天皇ともゆかりのある品川区立聖蹟公園に場所を移した。金賞・銀賞・銅賞・特別奨励賞の発表、品川蕪(品川カブ)入りの「品川汁」やクラフトビール「しながわカブが上がるエール」の提供、講談や太鼓演奏、さらにスペシャル・ゲストによる歌唱という豪華さは、もちろんそのままだ。

品川蕪は、江戸時代に品川宿周辺で栽培されていた蕪の一種。1804年(文化元年)発行の博物誌『形成図説』にも登場しているという。長い葉が特徴で、主に漬物や汁物の具として食べられていたが、江戸が東京になった頃から生産が減り、“幻の野菜”になってしまった。そこで奮起したのが、「NPOなすびの花」の大塚好雄理事長。2006年から品川蕪の痕跡を探し始め、08年から栽培すると共に、学校、農園、愛好者などに種子を配って、品川蕪の普及に情熱を傾けている。


総合司会は、NPOなすびの花 柿沢美貴理事。まず品川神社より「おはらい」があり、その後、10時から荏原流れ太鼓によるオープニング和太鼓へ。太鼓の逞しい音色を聴かせると同時に、バチを持つ腕の動き、颯爽とした姿勢など、「見せる」要素も盛り込んで「目覚め」、「黎明」を届けた。続いては大塚理事長の開会宣言、田辺一乃師匠の「江戸東京野菜講談」(「千住一本ねぎ 幽霊」入り)、来賓の挨拶などが続き、いよいよ品川蕪の審査が始まる。エントリーナンバーは50までだが、それ以上の応募があったという。


この審査時間、観客に、串カツ、しながわカブが上がるエール、「江戸を食する」品川汁がふるまわれてゆく。巨大鍋に人参、茸、大根、あぶらあげ、品川蕪などが大量に入れられ、江戸時代には擦った大豆が入れられていたとのことだが、現在は豆乳を投入。歌唱コーナーのゲストは、ムード歌謡の名門“ロス・プリモス”にも在籍経験のある徳永淳だ。東日本大震災発生後から自費で約150回、被災地に赴き、支援に取り組んでいる。この日は「ラブユー東京」、「たそがれの銀座」、「桜の花」などを届けた。さらに今年は、品川区社会福祉協議会による「品川社協音頭を踊ろう」コーナーもあった。


審査発表と表彰式が始まる頃、天気はさらによく、気候はあたたかくなっていた。50件のエントリーから選ばれたのは、銅賞が台場幼稚園(エントリーナンバー12)、銀賞が山谷さん(エントリーナンバー23)、銀賞に相当する特別奨励賞が品川学園(エントリーナンバー14)。金賞は2年連続で台場保育園(エントリーナンバー20)が得た。農地を持たない品川で開催される、1年を締めくくる暮れの風物詩は、最後まで大いに盛り上がった。











