総合開館30周年記念 恵比寿映像祭2025「Docs ―これはイメージです―」 2月16日までの開催期間に先駆けて、プレス内覧会が行われた
約2週間にわたり、展示、上映、ライヴ・パフォーマンス、関連イヴェントなどによって複合的に構成する映像とアートの国際フェスティヴァル「恵比寿映像祭2025」が1月31日(金)から開催。今年は11の国と地域から、39名のアーティストとゲストが集まった。
開催に先駆けて、1月30日(木)にプレス内覧会が行われた。担当学芸員の田坂博子氏は、「今年のテーマである『Docs ―これはイメージです―』は、フェイクニュースなどという言葉が日常的になった今の時代において、ドキュメンタリーとはどういうものかということを考える契機として選んだ」と説明。また、テーマを選ぶ際には、恵比寿映像祭が実施している制作委嘱事業である「コミッションプロジェクト」との関連も説明。コミッションプロジェクトは、映像分野における創造活動の活性化や、優れた映像表現の継承、国際的な発信を目的とし、日本を拠点に活動する新進アーティストに映像作品を制作してもらうプロジェクトだが、2回目にあたる今年のファイナリスト4名(永田康祐、小森はるか、小田香、牧原依里)の新作に共通する「ドキュメント/ドキュメンタリー」の要素もテーマを着想する元になったと話した。
中でも、出品作を上映作品として制作した小田香監督・小森はるか監督は、通常の展示が行われる3階展示室に加え、1階ホールでも会期中に特別上映が無料で実施される。今回、自身の母にカメラを向け、短編『母との記録「働く手」』を撮った小田香監督は、プレス内覧会の中で、「母親というのは、すごく近しい存在でもありますけど、最も身近な他人でもあります。現在の母の日常、それらをとらえる小さな映画をつくりました」と自作について紹介した。
中編『春、阿賀の岸辺にて』を出品する小森はるか監督は、2022年より新潟へ移住し撮影を継続してきた。「この作品の主人公の旗野秀人さんは、新潟県の阿賀野市に住まれている方なんですけれども、ずっと50年間、新潟水俣病の患者さんたちの支援を続けられてきた方です。50年という時間の中で、120人近い患者さんたちはほとんど亡くなられてしまいましたが、「水俣病になっても生きていてよかった」と言ってもらえるよう、旗野さんは本当の支援とは何かを模索し続けてきた人です」と紹介した。
恵比寿映像祭ではこの他にも、「日本のポスト・ドキュメンタリー」と題して1960年代前後から1970年代にかけて生みだされた多彩なドキュメンタリー作品を紹介するとともに、現代の実験性に特化したドキュメンタリー作品を多数紹介する。また、4人のコミッション・プロジェクトのファイナリストたちによるシンポジウム「第2回コミッション・プロジェクト−Docsの現在」も実施。こちらは、2月13日(木)17:30-19:30、東京都写真美術館 1F ホールにて行われる。入場料は無料だ。
【開催概要】
名称:総合開館30周年記念 恵比寿映像祭2025「Docs −これはイメージです−」
(英語表記:TOP 30th Anniversary Yebisu International Festival for Art & Alternative Visions 2025 “Docs: Images and Records")
会期:2025年1月31日(金)〜2月16日(日)[15日間] 月曜休館
※コミッション・プロジェクト(3F展示室)のみ3月23日(日)まで
会場:東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス各所、地域連携各所ほか
時間:10:00-20:00(最終日16日は18:00まで)
※2月18日〜3月23日のコミッション・プロジェクトは10:00-18:00(木・金は20:00まで)
主催:東京都/公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館/日本経済新聞社
共催:サッポロ不動産開発株式会社/公益財団法人日仏会館
後援:J-WAVE 81.3FM
協賛:サッポロビール株式会社/東京都写真美術館支援会員
料金:入場無料 ※一部のプログラム(上映など)は有料
恵比寿映像祭公式サイト:www.yebizo.com