世界の映画賞を席巻するマレーシア・台湾合作映画『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』が1月31日に公開

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米アカデミー賞の国際長編映画賞に、マレーシア代表としてエントリー

■文:原田和典

 アカデミー賞の国際長編映画賞に、マレーシア代表として初エントリー。台湾とマレーシアでは劇場に100万人を動員する大ヒットとなり、世界の18種もの映画祭で21の賞に輝く話題作『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』がついに1月31日から公開される。
 タイトルに登場する“富都(プドゥ)”とは、マレーシア・クアラルンプールにあるスラム街の名称。つまり「わけあり」の人々が、毎日をどうにか暮らしている。国籍はさまざま、身分証明書すら持っていない。アバンとアディの兄弟は、そうした状況の中で生まれ育ってきたが、キャラクターはほぼ正反対。聾唖のアバンは労働し、そこで得た金でつつましく生活しているが、アディは「不良」であり、裏の世界ともつながっている。ゆえに金回りは良いようにも感じられるが、がけっぷちを歩いている感じだ。だが、アディに「実の父親が健在である」情報がもたらされたことによって、物語は急展開するが、現実は天気のようなもので、晴れるときもあれば大雨の時も、おだやかなときも風や嵐の時もある。
 後半の展開は、別々の要素が引き合って一つの大きな急になっていくような感じで、実にスケールが大きく、兄弟を持たない私にとっては「鮮やかな異世界」に触れる思いがした。と同時に、このわかりやすさ、深さに、世界の映画好きが大いに感じ入ったのは、実に納得できるし、自分もそのひとりになったことに嬉しさを感じた。


 アバン役は台湾の俳優ウー・カンレン、マレーシアの俳優ジャック・タンが演じる。センシティヴな兄弟関係を演じた気鋭ふたりの絶妙なコンビネーションにも注目だ。監督・脚本はジン・オング、音楽は片山涼太とウェン・フン。片山の「一路以来」が主題歌になっている。なお、オング監督とジャック・タンは2月1日にヒューマントラストシネマ有楽町での舞台あいさつに登場する。

Cast
アバン:ウー・カンレン 吴慷仁
アディ: ジャック・タン 陈泽耀
マニー: タン・キムワン 邓金煌
ジアエン: セレーン・リム 林宣妤
シャオスー: エイプリル・チャン 周雪婷
犯罪集団のボス: ブロント・バララエ Bront Palarae
Crew
監督・脚本: ジン・オン 王礼霖
プロデューサー: アンジェリカ・リー 李心洁 / アレックス・C・ロー ALEX C. LO
撮影: カルティク・ヴィジャイ Kartik Vijay
編集: スー・ムンタイ 蘇文泰
音楽: 片山涼太 / ウェン・フン 龍玟宏
主題歌: [一路以来]片山涼太
挿入歌: [千言萬語](歌唱: ユン・メイシン 云镁鑫、編曲: 片山涼太 / ウェン・フン 龍玟宏)
美術: スーンヨン・チョウ 孫詠釗 / ペニー・ツァイ 蔡珮玲
衣装: エレーン・ン Elaine Ng
メイクアップ: イェン・イヤップ Yen Yap
製作: More Entertainment Sdn Bhd, New Century Southward Development Co., Ltd.
[ 富都青年 / Abang Adik | 2023年 | マレーシア・台湾合作映画 | 手話・マレー語・中国語・英語 | 115分 | 2.35:1 | 5.1ch | DCP & Blu-ray ]
日本版予告編制作 : 長夏実
デザイン : 内田美由紀 (Nora Design)
日本版予告編制作 : 遠山慎二 (resta films)
北海道地区配給・宣伝協力 : palmyra moon
関西地区宣伝 : Ngrowing
後援 : マレーシア大使館
配給・宣伝 : リアリーライクフィルムズ

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