映画『日本前衛派の開拓者』 これは世界芸術史においても特異な革命だったのだ。戦後の日本で沸き起こった熱きヴァイブレーション!
■文:原田和典

ロンドンを拠点に活躍するフランス人監督、アメリー・ラヴァレックが6年の歳月をかけて完成させたという力作。「第二次世界大戦」「戦後日本」「川田喜久治」「三島由紀夫」「PROVOKE」「森山大道」「荒木経惟」「緊縛」「暗黒舞踏」「パフォーマンスアート」「寺山修司」「アングラ」「横尾忠則」「田名網敬一」などを各チャプターにフィーチャーしながら、テンポよく進む。美術家、写真家、劇作家、舞踏家、いろいろだ。
前半の「第二次世界大戦」「戦後日本」といった章を見ていると“日本人にも、アメリカ人にも、これは作れなかったんじゃないかなあ”と直感する。貴重なフィルム、史料が次々と飛び出して唸らされるし、インタビュイーの面々も横尾忠則、田名網敬一、細江英公、森山大道、荒木経惟、川田喜久治、石内都、寺山修司など豪華(一部はアーカイブ)。故人も多く、私は寺山修司の口調に、やはり亡きロック・ミュージシャンの遠藤ミチロウを思い出した。


また、当事者ではなく、第三者的な(評論家的)な意見としてニューヨーク・グッケンハイム美術館、ロンドン・テート・モダンのキュレーターがコメントを寄せているのも良心的だ。前衛というものは、前提として「大多数の人にはわかりにくい」。見る者の感性を五里霧中にさせるところがある。アーティスト側と鑑賞者側の間に立つキュレーターの意見は、こちらと作品の距離をいっそう近づける役割を担っているといっていいだろう。本来「Underground」を標榜していたであろうものが、日本独自の「ANGRA」へと翻案されていく面白さに、どこか「アメリカを意識してはいるのだろうが、何か異なるものになってしまった」昭和40年~50年代の日本のジャズやフュージョンを聴いている時に感じるスリルに通じるものを感じた。
私は『肉体のアナーキズム』(黒ダライ児)、『戦争と万博』(椹木野衣)、『反芸術アンパン』『いまやアクションあるのみ!』(赤瀬川原平)などを読んで感銘を受け、中野のどこかで行われた糸井貫二(ダダカン)の展示会に爽やかな気分になった者である。アメリ―監督の視点を語りかけられているような気分で、この映画を見た。11月7日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
『日本前衛派の開拓者』
11月7日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督:アメリー・ラヴァレック
出演:横尾忠則、田名網敬一、細江英公、森山大道、荒木経惟、川田喜久治、石内都、寺山修司、土方巽、大野一雄 ほか
字幕:林かんな 原題:JAPANESE AVANT-GARDE PIONEERS
©Circle Time Studio, 2025
配給:オンリー・ハーツ












