まちだガールズ・クワイア  最新アルバムの発売日に渋谷でワンマンライヴを開催。流麗なハーモニー、多彩なセットリストでオーディエンスを魅了

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■文:原田和典 写真:ひの

 ヴォーカル・グループ“まちだガールズ・クワイア”が、最新カヴァー・アルバム『MGC CLASSICS vol.3』のリリース日にあたる1月19日、東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにてワンマンライヴ「町ガ 銀河進出への道〜新たなる旅〜 Ep.5 渋谷編」を開催した。13日に行われた大阪公演「町ガ 銀河進出への道 新たなる旅 Ep.4 大阪編」も成功させ、さらに意気のあがる6人のステージだ。
 まちだガールズ・クワイアは2015年に結成され、東京都・町田のライヴレストラン「まほろ座 MACHIDA」における定期的な出演ほか、様々な場所でのライヴ・パフォーマンスによって実力を培ってきた。ソプラノ・メゾソプラノ・アルトの三部構成による流麗なハーモニー(すべてリアルタイムで歌いあげる。リップシンクはない)は、まさに“クワイア”(合唱団)と呼ぶにふさわしく、前述『MGC CLASSICS vol.3』ではフィラデルフィア・ソウル、ジャズ、ゴスペル等のテイストも取り入れた楽曲にも臨んでいる。音楽プロデューサー・石田ショーキチの考える「世界中の名曲を独自のコーラスアンサンブルで表現する」ヴィジョンがさらに明確になった一枚といっていいであろう。


 2022年の段階からプランを練っていたという今回のコンサートは、基本的には楽曲そのものをじっくりと届ける構成。メンバーはこの日のために用意された新衣装できめて、ステージに出てくるやいなやファンを大いに沸かせた。 “基本的には”と書いたのは、ダイヤル電話を用いた寸劇風のパートがあったからだが、その内容は“未来のまちだガールズ・クワイアから「Ice Nine」を歌ってほしいと電話がかかってくるが、メンバーはそれに気付かないままステージを進める”という、SF的な、興味深いものだった。
 セットリストは、『MGC CLASSICS vol.3』からの楽曲、世紀の名盤といっていいであろう『オリオン座流星群』からの楽曲、最新オリジナル・ナンバー「キンキラキン」などを織り交ぜた、“これが今の町ガだ!”という声が聞こえてきそうなもの。ビーチ・ボーイズの「Wouldn’t it be nice」、カーディガンズの「Carnival」、クイーンの「Bohemian Rhapsody」などは英語のままで歌われ(しかも振付がある)、とくに、息もつかせぬ大作「Bohemian~」を歌い上げた後に起こった拍手と声援、そこから『オリオン座流星群』収録の感動的なオリジナル・ソング「Voice In Space」へ移りゆく流れは絶品だった。「銀河ステーション」も、「くじら座のミラ」も、今回は歌われなかったが「星空のシンセサイザー」も、世界屈指の名曲のなかのひとつだ。コンサートの間、私はメンバーの精進、そして石田プロデューサーの卓越したセンス(曲やアレンジの魅力はもちろん、作家チョイスの才能も含めて)を改めて感じ、うなった。くだんの「Ice Nine」は最後で歌われたが、音が消えた瞬間、場内から「冷凍保存完了、2025年に転送します」のメッセージが聞こえ、暗転。空間移動の夢からさめたような気分になったのは、私だけではないはずだ。
 まちだガールズ・クワイアは、今後ますます精力的に活動を繰り広げること必至。そんな確かな手ごたえも感じさせるワンマン公演であった。まほろ座 MACHIDAでの定期公演「 まちだガールズ・クワイアの水曜日はWednesday!! 」(ラジオの公開録音も兼ねているのでトークも満喫できる)は毎月第2水曜日に開催されている。

<セットリスト>
① 一万マイルの彼方へ
② Atmosphere
③ 銀河ステーション
《MC》
④ 猫に願いを
⑤ Carnival
⑥ Wouldn’t it be nice
《ringing…》
⑦ Moon base
⑧ 千夜一夜物語
⑨ くじら座のミラ
⑩ オリオンのベルト
⑪ Bohemian Rhapsody
⑫ Voice In Space
⑬ Satellite watch 〜衛星軌道の財宝探査〜 
⑭ 宇宙のしがらみ

《MC》
⑮ キンキラキン
⑯ Ice Nine

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